2011/10/30
夜中、一冊の本を読み終えた。
ブックオフの100円コーナーで買った古本だ。
最後のページをめくり、奥付(おくづけ)のところにシオリを置こうとした時、どうしてか、そこに四葉のクローバーを見つけた。
前の持ち主が挟み込んだものなのだろう。
忘れものなのか、それとも……
買う時も、読み始める時にも気づかなかったけれど、こんな事もあるものなのか。
私は、小さな幸せで胸がいっぱいになった。
雲の切れ間から急に月の光が鮮やかにあたりを照らしたのです。そうすると、道の先が照らされて、向こうの方に自分の行くべき集落の明かりが見えました。
自分がいま歩いている道も、月の光ではっきりと見える。(中略)
その人間にとっては、行く道も変わらず、歩く距離も変わらない。背中に背負っている荷物が軽くなったわけでもない。でも、本人にとっては、それが見えるというのは、見えない時とは全然ちがうものです。
〈五木寛之「運命の足音」より〉
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